令和2年度 水質試験年報
印刷 ページ番号2000949 更新日 2021年10月11日
令和2年度 水質試験及び調査結果の概要
【水道事業】
神崎浄水場では、水源からじゃ口に至るまでの水を監視しており、水道法で定める水質基準を満たした、安全で良質な水道水をお届けしています。
水道法に基づく、水質基準51項目の検査の結果、すべての項目で基準値を大幅に下回っていました。
1.着水水質(年平均)の経年変化(23から35ページ参照)
着水では、水の汚れ具合を示す項目について試験しています。平成13年度から令和2年度まで、過去20年の推移について報告します。
着水とは淀川から神崎浄水場に運ばれてきた水のことを言います。
神崎浄水場には、一津屋取水場から園田配水場を経て運ばれてきた園田系着水と、柴島取水場からの柴島系着水の2系統があります。最近の20年間において、水質に大きな変動はありません。
以下に各項目の説明をします。
- 水温
河川の表流水の水温は、気温に大きな影響を受け、季節による変動があります。
水温は、水中の生物的・化学的な反応に関係すると同時に、浄水処理にも影響する重要な指標です。 - pH値
pH値は酸性とアルカリ性の度合いを示すものです。pH7が中性で、7より小さければ酸性、大きければアルカリ性です。
河川水中のpH値は、生物的・化学的作用に影響します。また、浄水処理にも影響する重要な指標です。
- BOD(生物学的酸素要求量)
BODは、微生物が有機物を分解するために消費される酸素量のことで、水の汚れ具合の指標として用いられます。
汚染の少ない河川では、BODの値はおおむね、1リットル当たり1ミリグラム以下です。 - 過マンガン酸カリウム消費量
過マンガン酸カリウム消費量は、水中の有機物の量を示すもので、水の汚れ具合の指標として用いられます。
- 紫外線吸光度
紫外線吸光度は、水の汚れ具合を表す指標のひとつです。水中の汚れ(有機物)の濃度と、波長250~260nmの吸光度との関係性があることを利用して、水の汚れ具合を知る方法です。 - 溶解性有機物(TOC)
水の汚れは様々な有機物からできており、その有機物を炭素量で表したものをTOCといいます。(Total Organic Carbon=全有機炭素)水の汚れ具合を表す指標のひとつで、生活排水や工場排水などに含まれる有機物が、自然の浄化作用で処理(浄化)できないと、この値が高くなります。
- アンモニア態窒素
水に含まれるアンモニア中の窒素のことで、生活排水に多く含まれます。(比較的近い時点でのし尿汚染の発生を示唆)
アンモニア態窒素は塩素と反応するため、多量にあると水道水の残留塩素が消費されてしまいます。水道水の残留塩素を一定に保つように浄水処理を行うための指標となります。
- 電気伝導率
電流の流れやすさを表すもので、水中の陽イオンと陰イオンの量が多いほど値は高くなります。原水への下水、産業排水、海水の混入の推定や、給水栓水の配水系統の違い、漏水の判定などに利用できます。 - 塩化物イオン
いわゆる塩分のことです。原水中の塩化物イオンはほとんどが天然由来のものです。値が高くなった時は、生活排水や工場排水、海水等の混入が考えられるため、水質汚濁の指標となります。
2.神崎浄水場内水質試験(37から65ページ参照)
神崎浄水場では、浄水処理の過程に沿って、園田系着水井、柴島系着水井、園田系沈でん池、柴島系沈でん池、オゾン接触池、活性炭吸着池、ろ過池及びポンプ井(配水ポンプ井)の8か所の水について水質試験を行っています。
検査項目について
検査項目は、水質基準(51項目)の他に、水質管理設定項目(26項目)や独自項目(29項目)があります。
濁りや色、においなど、浄水処理工程において必要な項目については毎日検査し、水質管理に務めています。
結果について
令和2年度に行った水質試験において、多くの項目で国の水質基準値を大きく下回っており、良質な水道水が供給できています。
3.市内供給水水質検査(67から93ページ参照)
市内への供給は、本市の神崎浄水場、阪神水道企業団の猪名川浄水場と尼崎浄水場、兵庫県用水供給事業の多田浄水場からの上水と猪名川浄水場からの上水を野間ポンプ室で混合したものの、4系統から行っています。
法令(水道法施行規則第15条第1項第1号)に基づく、色及び濁り並びに消毒の残留効果に関する毎日検査として、市内5か所の水質自動監視装置により連続測定を行っています。年間を通して、濁度は0.1度未満、色度は1度未満、遊離残留塩素は0.4~0.9mg/Lでした。
また、市内16か所の定点(給水栓水)で、法令に基づく水質基準51項目について検査した結果、全項目で国の水質基準を大きく下回っていました。水道水は安心してお使いいただけます。
4.生物試験(95から105ページ参照)
水の着臭や着色、浄水処理障害を起こしうる生物の状況を把握するため、着水から供給水に至るまで、顕微鏡を用いた生物試験を行っています。本年度、浄水処理障害を起こすほどの生物の発生はみられず、供給水においても健康に影響を及ぼす生物は確認されませんでした。
5.その他の試験
配管通水検査(109から112ページ参照)
水道部が行う工事で、新しく水道管を布設した場合、通水を開始する前に、管内の水が水道水質基準に適合していることを確認するため、水質検査を実施します。本年度は106件の水質検査を実施しました。
水質検査請求に伴う検査(113から114ページ参照)
水質検査請求件数は72件でした。内訳は、鉛製給水管の使用者(所有者)への通知に係る水質検査請求が47件、水質に対する不安が15件、異物5件、異臭味5件でした。令和2年から、鉛製給水管を使用又は所有されている方を対象に、使用にあたっての注意事項を記した通知文を送付したため、鉛製給水管の使用者(所有者)からの水質検査請求件数が増加しました。
漏水調査における水質試験(115から116ページ参照)
漏水は通常、現場で水道水又は工業用水の配管布設状況、漏水の量、残留塩素反応等から、漏水している水が水道水か工業用水かを判断します。判定が困難な場合は、水道水又は工業用水の水質的特徴を利用し、トリハロメタンや塩化物イオン、生物などの項目について水質試験を行います。本年度、漏水調査における水質試験を行った件数は31件で、そのうち16件を水道水と判定し、工業用水は0件でした。
6.各種調査
取水場と着水井における水質調査(119から121ページ参照)
神崎浄水場の原水は、淀川表流水を一津屋取水場と柴島取水場で取水しています。原水と着水の水質及び導水管内での水質変化の状況を把握するため、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、マンガン及びその化合物、一般細菌、大腸菌、全窒素及び全リン等について調査しています。
本年度、原水及び導水管内の水質状況に問題はありませんでした。
取水(原水)生物試験(123ページから125ページ参照)
原水の着臭や着色、浄水処理障害を起こしうる生物の状況を把握するため、生物試験を実施しています。本年度、取水場において水道に障害を及ぼす生物の増殖は見られず、浄水処理への影響はありませんでした。
水源水質調査(127ページから133ページ参照)
本市が参加している淀川水質協議会(他の事業体;大阪広域水道企業団、大阪市、枚方市、守口市、吹田市、西宮市、伊丹市、阪神水道企業団)では、参加事業体が共同で琵琶湖・淀川水系の水質調査を実施しています。本年度の淀川本川の水質は、健康項目においては、全て環境基準値を達成しています。生活環境項目においては、大腸菌群・BODなど環境基準値に適合しない地点がありましたが、本市の浄水処理への影響はありませんでした。
【工業用水事業】
(135から147ページ参照)
本市の工業用水道事業は、淀川表流水と淀川水系の神崎川表流水を水源とし、園田配水場と神崎浄水場において凝集沈でん処理を行い、工業用水として供給しています。水道水のようにろ過や塩素消毒は行っていません。
工業用水道は、工業用水道事業法第19条で水質検査が義務付けられています。検査の結果、基準に適合しており問題はありませんでした。
関連情報
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