平成30年度 水質試験年報

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印刷 ページ番号2000777 更新日 2020年2月21日

 水質試験年報は、水質検査計画に基づいて実施した検査の結果及び各種調査並びに工業用水水質試験結果など、平成30年度に神崎浄水場が実施した水質試験結果をとりまとめたものです。

平成30年度水質試験及び調査結果の概要


安全で良質な水道水をお届けしています。

1 着水水質(年平均)の経年変化(過去20年)

 着水では、汚れ具合を示す項目について試験し、推移を確認しています。平成11年度から平成30年度の、園田系着水、柴島系着水の推移については以下の通りです。

園田系着水及び柴島系着水(23ページから36ページ参照) 

 着水とは淀川から神崎浄水場に運ばれてきた水のことを言い、神崎浄水場には一津屋取水場から園田配水場を経て運ばれてきた園田系着水と柴島取水場から取水された柴島系着水の2つの着水井があります。最近20年において水質においては大きな変動はなく一定の水質を保つことができています。

 水温及びpH値については、季節による変動はあるものの1年間を平均するとほぼ横ばいで推移しています。

 水質の有機汚濁の指標である有機物(BOD、過マンガン酸カリウム、紫外線吸光度及びTOC)の状況については、変動もあるものの横ばいで推移しています。

 生活排水、海水等による水質汚濁の指標であるアンモニア態窒素、電気伝導率及び塩化物イオンについては20年前に比べると若干の減少傾向にあります。

着水とは淀川から神崎浄水場に運ばれてきた水のことです

なお、各項目における推移については以下のとおりです。 

水温

 河川水などの表流水は気温と密接な関係があり、季節による変動があります。
水温は河川水中の物質の濃度に影響を与える生物的、化学的な反応や、浄水処理や水道管内の反応に大きく影響するので、重要な指標となっています。

 

pH
 水の酸性とアルカリ性の度合を示す指標です。中性の水はpH7で、7より小さいものは酸性、7より大きいものはアルカリ性です。
 通常の淡水のpHは7前後ですが、表流水はどちらかというとアルカリ側が多く、地下水は土壌中の生物作用によって生じた二酸化炭素のために酸性側のものが多くみられます。
 pHは、水中の化学的作用や生物作用に大きな影響を与えます。強い酸性やアルカリ性の水の中では普通の微生物は活動できません。
アルカリ側では金属の水酸化物が生成して透明度が下がったり底泥の堆積量が増えたりしやすく、酸性側では底質中の重金属類が溶出しやすくなります。

 

グラフ


 

BOD(生物化学的酸素要求量)

 微生物がよごれ(有機汚濁)を食べるために使った酸素の量のことで、有機汚濁の指標として用いられます。
BODが高いということは溶存酸素が欠乏しやすいことを意味し、
上水用水源としては、BOD3ミリグラム/lを超えると一般の浄水処理方法では処理が困難になるとされています。
人為的汚染のない河川のBODはおおむね1ミリグラム/l以下です。

 

過マンガン酸カリウム消費量
 水中の有機物の量を表す指標で、土壌に起因するほか、工場排水、生活排水、下水の混入によっても増加し、水道水に多いと渋みを感じます。

 

グラフ


 

紫外線吸光度

 水中の不飽和結合を有する有機物質は、紫外部に吸収を示すことから、250~260nmの波長域における吸光度を測定し、原水の有機性汚濁の状況や浄水処理過程の水の処理性の評価に利用することができます。

 

TOC
 水中の全有機炭素は、種々の有機化合物から構成されており、これらの有機化合物に含まれている炭素量をいいます。(TOC=total organic carbon=全有機炭素)
  これは、有機物による水の汚れを知るための指標で、生活排水や工場排水などに含まれる有機物が、自然の浄化作用で処理(浄化)できない場合、この数値が高くなります。
水中のこの数値を測定することで、どの程度有機物を含んでいるか分かりますので、水質汚染の程度が分かることになります。また、水道水中に高濃度含まれると、味に渋みがつきます。
 

 

グラフ

アンモニア態窒素

 アンモニア態窒素は、水に含まれるアンモニアの量を表したものです。
アンモニアは、生活排水に多く含まれています。(比較的近い時点でのし尿汚染の発生を示唆)
アンモニアは塩素と反応するため、河川水中にアンモニアが多量にあると、水道水中の残留塩素を一定に保つことが困難になります。そのため、浄水処理の指標として検査しています。


 

アンモニア窒素グラフ

電気伝導率

 電気伝導率は、水に電流が流れやすいかどうかを数値化したものです。水に含まれる塩化物イオンやナトリウムイオンなどのイオン類の量が多いほど、電流が流れやすくなり、電気伝導率が高くなります。
 電気伝導率は、原水への下水、産業排水、海水の混入の推定や、給水栓水の配水系統の違い、クロスコネクション、漏水の判定などに利用できます。

 

塩化物イオン
 いわゆる塩分のことですが、自然水は常に多少の塩化物イオンを含んでいますが、これらの多くは地質、海水に由来するものであります。
 また、し尿、生活排水、海水などの混入によって数値が高くなりますので、このことが水質汚濁の指標になっています。


 

電気伝導率グラフ

2 神崎浄水場内水質試験 (37ページから66ページ)

神崎浄水場では、きめ細かな水質管理を実施しています。

 

 神崎浄水場では浄水処理の過程に沿って、園田系着水、柴島系着水、園田系沈でん水、柴島系沈でん水、オゾン処理水、活性炭処理水、ろ過水及びポンプ井水(配水ポンプ井水)の8箇所で水質試験を実施しています。検査項目は、浄水工程において必要な項目や濁り、臭い及び味については毎日検査し、水質基準項目(51項目)についても月に一度、着水井及びポンプ水井において実施しています。

 なお、本市で行っている水質基準項目、水質管理設定項目(25項目)及び独自に行う項目(23項目)の水質試験の結果においては、国の水質基準値等に対し、多くの項目で定量下限値以下であり、良質な水道水が供給できています。

3 市内供給水水質検査 (67ページから94ページ)

すべての項目で水質基準を大幅に下回っていました。

 市内への供給は本市の浄水場である神崎浄水場、阪神水道企業団の猪名川浄水場及び尼崎浄水場、兵庫県用水供給事業の多田浄水場からの上水と猪名川浄水場からの上水を野間ポンプ室で混合したものの4系統から市内へ配水しています。

 法令(水道法施行規則第15条第1項第1号)に基づく色及び濁り並びに消毒の残留効果に関する毎日検査として、市内5箇所の水質自動監視装置による連続測定を行いました。その結果、遊離残留塩素は0.20~0.90mg/L、濁度は全て0.1度未満、色度は全て1度未満であり、国の水質基準に適合していました。

 また、法令に基づく水質基準項目の全項目を市内16か所の定点(給水栓水)で検査を実施しました。市内の水道水の水質は、全ての項目で国の水質基準に適合していました。

比較表

4 生物試験 (95ページから106ページ参照)

 水の着臭及び着色を起こしうる生物や、浄水処理において障害を起こしうる生物の状況を把握する目的で、着水から浄水までの顕微鏡を用いた生物試験を実施しています。

 平成30年度の着水(園田系及び柴島系)における生物は、浄水処理に障害を起こす様な大量発生はなく、また給水栓水においても、健康に影響を及ぼす生物は確認できませんでした。

 

一年間の着水で最も観察された生物には、キクロテラやアステリオネラがいました。

5 その他試験

(1) 配水管通水検査 (109ページから112ページ参照)

 新しく水道管を布設した場合、洗管した後、通水を開始する前に管内の水が水道水質基準に適合しているかを確認するため、水質検査を実施しています。今年度は92件の水質検査を実施しました。

(2) 水質検査請求に伴う検査 (113ページから116ページ参照)

 水質検査請求件数は31件でした。請求内訳は、下図の通りです。

水質検査請求内訳のグラフ

(3)漏水調査における水質試験(117ページから120ページ参照)

  漏水が疑われる場合、通常は現場で水道水又は工業用水管の布設状況、漏水の量、残留塩素反応等で漏水している水が水道水か工業用水であるかを判断します。しかし、判断が困難な場合は、水道水、工業用水の水質的特徴を利用し、トリハロメタン、塩化物イオン及び生物など特定の項目について水質試験を行い判断します。今年度、漏水が疑われ水質試験を行った件数は22件で、そのうち11件を上水道水と判断し、工業用水と判断したのは0件でした。

6 各種調査

(1) 取水場と着水井における水質調査 (123ページから126ページ参照)

 神崎浄水場の原水は、淀川表流水を一津屋取水場及び柴島取水場で取水しています。神崎浄水場までの導水管延長は、一津屋取水場から18km、柴島取水場から9kmとなっています。

 取水(原水)と着水の水質及び導水管内での水質状況を把握するため、原水と着水で変化する項目であるアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、マンガン及びその化合物、一般細菌、大腸菌、全窒素、全リンなどについて、調査を実施しました。 

 調査の結果、取水及び着水の水質は、浄水処理に影響を与える程度ではありませんでした。

(2) 取水(原水)生物試験 (127ページから130ページ参照)

 生物による着臭及び着色、浄水処理工程での凝集阻害・ろ過閉塞等水道障害生物の状況を把握する目的で取水の生物試験を実施しました。

 今年度、本市の取水場において、水道に障害を及ぼす生物の増殖は見られず、生物による浄水処理への影響はありませんでした。

(3) 水源水質調査 (131ページから138ページ参照)

 市が参加している淀川水質協議会(他の事業体;大阪広域水道企業団、大阪市、枚方市、寝屋川市、守口市、吹田市、西宮市、伊丹市、阪神水道企業団)では、参加事業体が共同して琵琶湖・淀川水系の水質調査を実施しています。

 今年度の淀川本川の水質は、健康項目においては、全て環境基準値を達成していますが、生活環境項目においては、大腸菌群・DOなど環境基準値に適合しない地点がありました。

[工業用水道事業](139ページから152ページ参照)

尼崎市工業用水道条例施行規程で定めた基準を下回っているよ。

 本市の工業用水道は、淀川表流水及び淀川水系神崎川表流水を水源としており、園田配水場及び神崎浄水場において凝集沈でん処理を行い、工業用水として供給しています。水道水のような濾(ろ)過処理や、塩素殺菌処理は行っていません。

 工業用水道は、工業用水道事業法第19条で水質検査が義務付けられています。

 

 

工業用水の、園田配水場と神崎浄水場での結果の比較をしています。

このページに関するお問い合わせ

公営企業局 上下水道部 浄水センター 神崎浄水場
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